白髪を染めようと考え、いろいろ調べていると「ヘナ」という言葉が目にとまると思います。ヘナとはどのような白髪染めなのでしょうか。
ヘナとは、白髪染めの種類ではなく、植物の名前です。日本では一般的に、白髪染めやトリートメントととして使われています。また、インドではメヘンディアート(インドの儀式や結婚式には欠かせない、手などに模様を描くヘナタトゥ)にも使われています。
多くの白髪染めは、髪や頭皮にアレルギーをおこす可能性があります。一方でヘナは、酸化染料(毛髪を永久的に染めるカラー剤)や合成染料(化学的に合成した染料)を使っていないためアレルギー反応はおこらないとされています。
このページではヘナを使って白髪染めをするメリットとデメリットについてお話します。
このページの目次
ヘナとは何か、その特徴は?
先ほどもお話した通り、ヘナとは植物の名前です。日本語では「ミソハギ」とよばれる木です。成長すると3~6mくらいまで成長します。
ヘナは、インドの伝承医学であるアーユルヴェーダでは、切り傷や炎症を抑えるのに使われていました。さらに、殺菌、脱臭作用があるといわれ、水虫の治療に使われたり脇の匂い消しに使われたりしていました。
白髪染めに使われているヘナは、主に葉を中心に収穫し、乾燥させてから粉末にしたものです。「ヘンナ」とか「ヒーナ」とよばれることもあります。
100%ヘナの粉末の色は一定ではない
ヘナは、収穫された産地や時期、その年の雨量などにより、品質が違ったり色が違ったりします。また、ヘナを粉末にする前に天日干しをしますが、その際の日照時間や湿度の違いも色に影響します。そのためヘナの色は一定ではありません。
しかし、きれいな緑色をしたヘナの方が良く売れるため、企業が化学染料を使って色を付けて売っている場合が多くあります。常に鮮やかな緑色をしているヘナは、ヘナ以外のものを入れて色を調整している可能性があると考えられます。
たとえば「アウリ」という植物は緑色を安定させ長い時間緑色をキープできます。さらに粉末の重量も増すため、利益主義の企業には好都合の植物です。しかしこのアウリは、牛でさえ食べないほどの有毒な植物なのです。
このような混ざりもののヘナを使えば、カユミや腫れなどがおこるのは当然といえるでしょう。
たとえば、同じ果物でも産地によって味に違いがあるように、ヘナも収穫された地域や時期によって、品質の良し悪しがあるのです。特に良いとされて有名なのは、11月ごろ採取されたインドのラジャスタン州のヘナです。
100%ヘナであればアレルギーはおこらない
100%ヘナであればアレルギーの心配は要りません。しかしまれに、「ヘナで白髪染めをしたらカユミが出た」、「頭皮が腫れた」という人がいます。
そのような人が使ったヘナを調べてみると、100%ヘナではなく、他のものが混ざっています。ヘナにヘナ以外のハーブなどを加えて色を出そうとする場合、化学物質が必要です。その化学物質の量は少ないかもしれませんが、「0」ではありません。
そのためその化学物質に反応してしまうと、アレルギーとなってカユミや腫れなどの症状が出てしまうのです。
ただ、植物アレルギーの人は、パッチテストをお勧めします。パッチテストとは、アレルギーの原因と考えられる物質を皮膚に貼付して皮膚の反応を調べる検査のことです。パッチテストのくわしいやり方はこちらです。
100%ヘナは黒く染まらない
100%ヘナであれば、白髪は黒く染まりません。「ブラックヘナ」や「ダークブラウンヘナ」というヘナがありますが、それらは100%ヘナではありません。ヘナによって白髪が染まる色は、オレンジ系の色です。
また、ヘナでは黒髪は染まりません。白髪だけがオレンジ色に染まるのが100%ヘナです。
ヘナは自然ハーブの匂いがする
ヘナは植物のため、自然の草の匂い(青臭い匂い)がします。その「匂いが良い」という人もいれば、「匂いが苦手」という人もいます。
ヘナの匂いが苦手で、匂いを和らげたい場合は、コーヒーや紅茶を混ぜることで匂いを軽減することができます。ただし、染まる色をコーヒー色にしたり紅茶色にしたりすることはできません。
また、卵の白身をメレンゲ(白身をかき混ぜて泡立てたもの)状態にして加えても、匂いが和らぎます。
ヘナで白髪を染めるメリット:髪や頭皮に害がなく、健康的な髪になる
ヘナで白髪を染める一番のメリットは、髪や頭皮に害がないことです。そして、髪にハリやコシが出て健康的な髪になることです。
紀元前の古代エジプト時代から使われてきた歴史があり、ヘナで髪を染めたミイラが存在します。これだけ古くから使われてきた実績があるのは、カラダにとって良いものである証拠といえます。
ヘナには収れん作用(タンパク質を変化させ、組織や血管を引き締める作用)があります。この収れん作用により、頭皮を引き締めバリアを作ります。また、髪をおおっているキューティクルを引き締め、髪にコシとツヤを与えているのです。
ヘナを使うと頭皮環境が整うため、白髪染めのアレルギーによって細くなってしまった髪が元に戻ったり、抜け毛が減ったりします。
ヘナは、髪や頭皮に害がないため、トリートメントとして子供にも使えます。アレルギー体質の人でも使えます(心配な方はパッチテストをお勧めします)。
さまざまな企業が、髪や頭皮に良いとうたう白髪染めを開発し販売していますが、ほとんどのものに多少なりとも薬剤が入っているため、アレルギーの心配が全くないとはいい切れません。
それらの白髪染めに比べ、100%ヘナであればトリートメント効果も強く期待でき、髪が健康的になりアレルギーの心配もないため、安心して使える白髪染めといえます。
ヘナで白髪を染めるデメリット:手間と時間がかかり、オレンジ色にしか染まらない
ヘナで白髪を染めるデメリットは、白髪が染まる色がオレンジ系の一色しかないことです。これは、ヘナの葉に含まれる赤色色素(ローソンという)によるものです。このローソンが髪の主成分であるケラチンとからみつく性質があるため、白髪がオレンジ色に染まるのです。
また、ヘナは黒髪は染まりません。そのためヘナで白髪を染めると、地毛の色とオレンジ色の二色の髪色になることもデメリットと考えられます。
また、ヘナは粉末の状態で販売しているため、白髪染めをするたびにお湯を沸かしたり適量をはかりお湯で溶くなどの手間がかかります。
他にも、白髪染めのときの塗布したあとの放置時間が長いこともデメリットでしょう。
ヘナのデメリットを理解して使うのであれば、とても良い白髪染めといえる
このページでは、「ヘナの特徴」、「ヘナで白髪染めをする時のメリットとデメリット」について述べてきました。特にメリットで述べてきたトリートメント効果はすばらしいものであると思います。しかしそれは、100%ヘナに限るものです。
残念ながらヘナの名を使った白髪染めであっても、100%ヘナではないものが多く存在ます。美容院で扱っているヘナも例外ではありません。
100%ヘナでない原因として考えられることは、いくつかあります。
前述の通り、生産する時点でヘナ以外の葉を混ぜている企業もあるといわれています。また、輸入する日本の企業がチェック不足のため、100%ヘナでないものをそのまま販売しているケースもあります。また、100%ヘナでないことを承知で購入し、そのまま販売している企業もあるようです。
さらに、よく売れるようにするため、黒やブラウンなどの色になるように薬品を使ったり、きれいな緑色で販売するために、ヘナ以外のものを混ぜたりしています。
このような商品を「安全なヘナである」と思い込み購入して使った場合、アレルギーがでて頭皮がかゆくなったり腫れたする可能性があります。
100%ヘナであれば、白髪染めに使ってもアレルギーが出ることはありません。そのため購入時に、100%ヘナであるのかそれとも何かが混ざっているヘナであるのかを、パッケージを見たり商品のホームページを読むなどして確認することをお勧めします。
デメリットとして述べてきた通り、ヘナで白髪を染めるには、手間と時間がかかります。さらに染め上がりの色はオレンジ色の一色しかありません。そのことを理解した上でヘナを使うのであれば、頭皮や髪の健康面を考えると、とても良い白髪染めといえます。
しかし、白髪染めを「簡単にすませたい」、「黒く染めたい」という希望を持っている人には不向きな白髪染めといえます。