白髪が生えてくると、まず思うことは「白髪を治したい」、「元の黒髪に戻したい」ということではないでしょうか。
白髪になった毛髪が黒髪に戻ることはありません。しかし白髪になった原因を知り、対策を行うことで、新しく生えてくる毛髪を黒髪にすることは可能です。
このページでは、髪が白髪になる原因とその対策について話していきます。
このページの目次
白髪になる仕組み
もともと毛髪は、頭皮で作られた時点では無色透明です。その無色透明の髪にメラニン(色を決める色素)が入ることで髪の色が決まります。アジア人の髪の場合、このメラニンの色が黒色のため、黒髪の人が多いのです。
それでは、「白髪は白色のメラニンが入ったものか」と思うかもしれませんが、そうではありません。白髪は、メラニンが入らなかった状態です。つまり無色透明の髪が、光の加減で白く見えている状態が白髪なのです。
時どき、1本の黒髪が途中から白髪になった髪や、その逆に先端が白髪で根本が黒髪というケースの髪を見かけることがあります。
先端が黒髪で根本が白髪の場合は、黒髪が生えてくる途中でメラニンが入らなくなったため、途中から白髪になったと考えられます。
一方で白髪の途中から黒髪に変化した毛髪のケースは、何らかの原因でメラニンが髪に入らず白髪であったが、原因が改善され、途中からメラニンが入るようなったため黒髪になったと考えられます。
白髪とは、何らかの理由でメラニンの生成が弱まったため、髪の中にメラニンが入らなくなった状態なのです。
白髪の原因と対策
では、なぜメラニンを生成する機能が弱まってしまったのでしょう。原因はいろいろ考えられますが、残念ながら「メラニンが不足したことによる白髪の原因はこれです」と、はっきりいい切れるものはありません。白髪に関する研究はあまり進んでいないのが現実です。
なぜなら、白髪は命に関わる重大な病気ではないと考えられているからです。つまり、ガンなどの生死に関わる病気を治す研究は急がれますが、緊急性のないものの研究は後回しになっているということです。
たとえば、視力が落ちた場合はメガネをかければ問題の解決ができるように、白髪も染めれば解決できる場合が多いため、研究が進まないのです。
このような状況の中でも、いくつか原因として考えられていることがあります。それらを以下で説明します。あなたの白髪の原因をみつけて白髪の改善にお役立てください。
加齢による白髪の原因と対策
私たちは生きている限り、加齢による老化現象は避けられません。歳を重ねることで全身の細胞が老化します。顔のたるみやシワも老化とともに目立つようになります。同じように老化現象の一つとして白髪になると考えられます。
先ほども述べた通り、白髪は髪にメラニンが入らなくなった状態です。老化による白髪の原因として考えられることは、歳を重ねることでメラノサイトと呼ばれるメラニンを作り出す色素細胞が減少し、メラニンが作られなくなることです。
一般的に細胞は、それぞれの役割を果たしながら増えたり死滅したりしています。一方でメラノサイトという色素細胞は、自分で細胞分裂(1つの細胞が2つ以上の細胞に分かれること)することができません。
そのためメラノサイトが一度消滅してしまうと、もとの状態に戻ることは難しいのです。その結果として、メラニンが作られる量が減ったり、なくなったりしてしまうのです。そして髪にまでメラニンが運ばれなくなり、白髪になると考えられています。
対策ですが、老化を止めることはできません。しかし、遅らせることはできます。老化を遅らせるには、「バランスの取れた食事をする」、「適度な運動をする」などが良いでしょう。
特に老化を遅らせることができるといわれている食品は、魚や大豆、野菜や果物、ナッツなどが良いとされています。
適度な運動とは、運動しながらでも話ができるくらいの負荷のある運動と、下半身や上半身を鍛える筋トレなどが有効です。
頭皮の健康状態による白髪の原因と対策
頭皮が硬いと白髪になりやすいといわれています。頭皮が硬いとは、指先を頭皮に押しつけて前後左右に動かしてもあまり動かない状態です。頭皮の下には筋肉がないため、手などを使って動かさないと、頭皮はどんどん硬くなっていきます。
頭皮が硬い状態が続くと、血行が悪くなります。血液循環がよくなければ、毛乳頭と呼ばれる髪のもとになる部分に栄養が届かなくなるため、白髪になる可能性が高まるのです。
また、フケが多かったり頭皮が乾燥している場合も、白髪の原因になります。しかし、フケがでることが悪いわけではありません。フケは新陳代謝が行われた結果出てくるものです。そのつど頭を洗い、清潔に保っていれば大丈夫です。
ただ、強い洗浄力のシャンプーを使い続けると、頭皮がカサカサになり、乾燥肌になってしまいます。乾燥肌になり頭皮がかゆくなるケースでは、頭皮が炎症している可能性があります。
頭皮が炎症しているということは、毛穴(毛が生える穴)が炎症している可能性があります。そのような状態ではとても健康な状態とはいえません。髪に十分な栄養が届かなくなり白髪の原因となるのです。
対策としては、まずは頭皮のマッサージをして、頭皮を柔らかくすることです。そして使うシャンプーですが、シャンプーは人それぞれに「合う」、「合わない」があるため、一概にはいえません。一般的には、比較的低刺激で頭皮環境を健やかにするものがよいでしょう。
ストレスによる白髪の原因と対策
白髪になる仕組みは、「メラニン色素が髪に入らなくなるためで、そのメラニン色素を作っているのがメラノサイトという細胞である」とこれまで述べてきました。
実はこのメラノサイトがストレスに弱いといわれています。そのため、メラノサイトはストレスがかかってくると正常な働きができなるのです。
たとえばストレスを強く受けてしまうと、交感神経(全身の活動力を高める働きをする神経)と副交感神経(活動によって疲れたカラダを回復させる神経)でバランスをとっている自律神経が乱れてしまいます。
自律神経がうまく機能しなくなると血行不良になり、血液循環が悪くなります。血液の流れが悪くなると、血液によって運ばれるはずの栄養分が滞ってしまいます。その結果、毛根(皮膚から下の髪の部分で、毛が抜けたときに見られる白く丸いところ)に栄養分が届かなくなり、白髪の原因になってしまうのです。
ストレスからくる自律神経の乱れを整えるには、我慢しないことや好きなことに打ち込むこと、睡眠時間をしっかりとることなどです。
首コリによる白髪の原因と対策
一見すると、白髪にはさほど関係がないように思われる「首コリ」ですが、実は、首コリと白髪はとても深く関係しています。
髪や頭皮に十分な栄養が届かなくなると、白髪になる可能性が高まります。髪や頭皮に必要な栄養分をカラダから頭に運んでいるのは血液です。血液が流れる血管が集中しているのが首なのです。
そのため首がコリ固まっていては、血液が良好に流れなくなり栄養分が運ばれにくくなります。その結果、白髪になる可能性が高まるのです。
コリにより固くなった筋肉に押されて血管が狭くなると、血液の渋滞が起こってしまうのです。血液が渋滞している状態では十分な栄養を頭に運ぶことは難しいです。
対策としては、マッサージや整体などを受けたり、自分でツボを刺激したりすることをお勧めします。
眼精疲労による白髪の原因と対策
首から上の部位で日常的によく使われ、特に筋肉がコリやすいのが目です。人は目から情報を得ているため、常に目を駆使しています。特に近年は、スマホやパソコンなどの普及で近くのものを見続ける時間が長くなっています。
目は一点を見続けていると、目の周りの筋肉が固定されます。たとえばスマートフォンを見続けている状態がそれに当たります。その結果、目の周りの筋肉が固くなり筋肉の柔軟性がおとろえ、眼精疲労になっていきます。
眼精疲労になると目の周りの血流が悪くなります。目は頭皮に近い位置にあるため、頭皮までスムーズに血液が流れない可能性が出てきます。そのため、頭皮の血流が悪くなると頭皮の健康状態が損なわれ髪に栄養が行き届かなくなるのです。その結果、白髪になる可能性があるのです。
眼精疲労になってしまったときの対策は、目の疲れを感じたら遠くを見ると良いでしょう。また、長時間パソコンをする場合は、姿勢にも注意が必要です。
頭痛がするほど目が疲れてしまったら、温めたタオルを目にあてて休めたり、目の周りのツボを刺激したりするのもお勧めです。
寝不足による白髪の原因と対策
睡眠不足になると、注意力が散漫になったりカラダのキレが悪くなったりします。たとえば頭がぼうっとした状態であったり、カラダが重たく感じたりする状態です。
このような状態は、体中に血液が行き渡っていない可能性があります。特に頭が冴えていないときは、血液によって頭に十分な酸素と栄養が送られていないと考えられます。
酸素と栄養が不足すると、細胞の働きも鈍くなります。さらに酸素と栄養の不足の状態が続くと、細胞は死滅してしまいます。
その影響を受けて、黒色の色素を作り出すメラノサイトの働きが悪くなったり、さらには黒色色素を作り出せなくなったりします。その結果、白髪になるのです。
対策としては、しっかり眠ることです。しかし実際は、仕事などで忙しく、眠る時間が足りないため寝不足になっている人も多いと思います。そこで、少ない睡眠時間でも白髪の改善につながる時間帯の話をします。
メラノサイトを活性化させるためには、成長ホルモン(カラダの成長や代謝などをつかさどるホルモン)の分泌が必要です。成長ホルモンが活発に分泌される時間帯は、就寝してから2時間後に成長ホルモンが分泌されるといいます。そして特に22~2時の時間帯は成長ホルモンが分泌されやすいといわれています。
22~2時の時間帯に熟睡できる環境を整えることで、白髪の改善が期待できるようになります。さらに睡眠時間を増やすことができれば、なお良いでしょう。
紫外線による白髪の原因と対策
顔やウデなどは、日焼け止めを塗ったり長袖の服を着たりして紫外線から身を守り、肌が日焼けをしないように気をつけている人が多くいます。しかし、頭皮の日焼けまで気にしている人は少ないようです。
頭皮は毛髪に隠れていることが多いですが、実は紫外線は頭皮まで届いています。ウデなどの肌と同じように、頭皮も紫外線の影響を受けて日焼けします。日焼けした状態は、肌がヤケドをおった状態です。
紫外線による日焼けは肌の細胞を傷つけています。しかも細胞だけでなく、細胞の中のDNA(細胞の中に存在し、カラダをつくるすべての情報があるもの)まで損傷してしまいます。
ヤケドをすると皮膚の細胞はダメージを受けます。さらに、細胞の中のDNAまで傷つくのです。DNAが傷つくということは、黒髪の色素であるメラニン色素を作り出すメラノサイトが正常に働かなくなるということです。
メラニン色素が正常に作られないということは、髪に色をつけられなくなるということです。そのため、髪は白髪になってしまうのです。
一番簡単な対策としては、出かけるときに帽子をかぶることです。10~14時ごろは特に紫外線が強いため、外出をひかえるのも良いでしょう。
また紫外線は、7月と8月に特に多くなりますが、他の月は安心ということではありません。紫外線に対しては、一年中気を配ってほしいです。
栄養不足による白髪の原因と対策
日常生活の中で、かたよった食事をくり返したり食事の量が少なすぎたりすると栄養不足になります。栄養不足になれば、体調不良になったり栄養失調になったりします。
しっかりご飯を食べているつもりでも、その食事のバランスが悪く、さまざまな栄養素を取り入れられずにいると、栄養不足になることがあります。その影響は、カラダや精神的な部分にも現れてきます。
同様に、髪も健康な状態を保つためには栄養素が必要です。健康的な髪を育てるために不可欠な栄養素が不足すると、白髪になる可能性が高くなるのです。
前述した通り、白髪になるのはメラニン色素が足りないからです。このメラニン色素はチロシンというアミノ酸が原料となり作られます。そのため、チロシンを含む食事を摂ることは白髪対策には有効であると考えられます。
チロシンを多く含む食品は「かつお節」、「こうや豆腐」、「チーズ」などです。
また、メラノサイト(メラニンを作り出す色素細胞)がメラニン色素を作り出す際に、酵素を必要とします。その酵素の名前をチロシナーゼといいます。このチロシナーゼを活性化させることで、メラニン色素を活発に作り出せるようになるのです。
そのため、チロシナーゼを活性化させる栄養素も欠かすことはできません。チロシナーゼを増やす食品は、「レバー」、「えび、かに」、「ナッツ類」などです。
また、メラノサイトの働きが悪くなるとメラニンを十分に作り出せなくなります。そのためメラノサイトを活性化させる必要もあります。
そのために必要な栄養素はヨード(ヨウ素)といいます。ヨードが多く含まれる食品は、昆布やひじきなどの「海藻類」や、サバやイワシなどの「青魚類」です。
他にも髪に必要な栄養素として、タンパク質やビタミン、ミネラルがあげられます。タンパク質としては、牛肉や豚肉、鶏肉などの「動物性タンパク質」が必要です。一方で、豆類や穀物、野菜などから摂れる「植物性タンパク質」も必要です。
白髪改善のために必要なビタミンとしては、ビタミンB群です。特にビタミンB12が有効であると考えられています。ビタミン12を多く含む食品は、シジミやアサリなどの「貝類」や牛肉や鶏肉などの「レバー類」のほか、「海藻類」です。
白髪改善につながるミネラルの中で特に取り入れたいのは、銅と亜鉛です。銅を多く含む食品は、「牛レバー」や「うなぎの肝」、「いくら」などです。一方で亜鉛を多く含む食品は、「牡蠣(カキ)」や「うなぎ」、「チーズ」などです。
白髪対策に必要な食品
チロシンを多く含む食品 | かつお節、こうや豆腐、チーズ、きな粉、すじこ、ピーナッツ、マグロ、ごま | メラニン色素の原料 |
---|---|---|
チロシナーゼを増やす食品 | レバー、かに、エビ、イイダコ、カシューナッツ、ごま、大豆、カキ | チロシナーゼを活性化 |
ヨード(ヨウ素)を多く含む食品 | 干しひじき、昆布の佃煮、青のり、焼きのり、真たら、サバ、イワシ、カツオ | メラノサイトを活性化 |
動物性タンパク質を多く含む食品 | 牛肉、豚肉、鶏肉、卵、サーモン、カツオ、アジ、しらす、チーズ | 髪を形成 |
植物性タンパク質を多く含む食品 | 大豆、小麦粉、白米、きな粉、枝豆、納豆、スパゲティ、はと麦 | 髪を形成 |
ビタミン12を多く含む食品 | しじみ、赤貝、牛・鶏・ぶたレバー、すじこ、岩のり、カキ、あん肝、たらこ | メラノサイトを活性化 |
銅を多く含む食品 | 牛レバー、うなぎの肝、いくら、しゃこ、桜えび、イカの塩辛、カキ、豆味噌 | チロシナーゼのミネラル成分 |
亜鉛を多く含む食品 | カキ、うなぎ、チーズ、小麦胚芽、パプリカ粉、豚レバー、かぼちゃの種、松の実 | 酵素の活性化、免疫システムの補助 |
亜鉛、銅のミネラル過剰摂取による白髪の原因と対策
前述した通り、ミネラルを摂取することは白髪改善に役立ちます。しかし、カラダが吸収できるミネラルは少量で、ミネラル同士がバランスをとりながらカラダに吸収されていきます。そのため、「どれか一つだけしっかり摂っていれば良い」ということはありません。
特に亜鉛の摂る量は注意が必要です。白髪にとって亜鉛の不足はよくありませんが、摂りすぎもいけません。亜鉛を吸収するとき、銅も一緒にバランスよく吸収されます。望ましい割合は、亜鉛「10」に対して銅「1」です。
つまり亜鉛が多すぎると、銅が足りなくなります。逆に銅が多すぎても亜鉛不足となるのです。このようにミネラルを摂取するには、バランスよくカラダに取り入れることが大切です。
そのため、ミネラルの不足分をサプリメントで補うことはあまりお勧めできません。良かれと思って摂っているサプリメントが原因で白髪になることもあるのです。自然食品をバランスよく摂ることをお勧めします。
遺伝による白髪の原因と対策
一般的に「白髪になる原因は遺伝も関係している」といわれています。確かに親が白髪の場合、子供も白髪になる可能性は多いようです。しかし、「親が白髪である場合、必ず子供も白髪になるのか」というと、そうではありません。
これは子供が、白髪になる遺伝子を親から引き継いだのではなく、白髪になりやすい体質が遺伝したといえます。白髪になりやすい体質の子供が、実際に白髪になった親と同じ生活習慣や同じ食事環境で生活していれば、白髪になるのも自然なことといえます。
親が白髪の場合の対策ですが、、遺伝を取り除くことはできません。これまで述べてきたような、髪にとってバランスの良い食事を摂ったり、頭皮のマッサージをしたり、ストレスを溜めないようにすることをお勧めします。
白髪染めを使うことで若々しく見られる
このページでは、白髪になる原因とその対策について話してきました。どれも有効だと思いますが、1日で結果がでることはありません。数カ月から数年続けることが重要となります。
しかしそれでは、白髪を改善するまで白髪頭でいなければなりません。白髪頭でいると実年齢よりも年上に見られてしまいます。見た目だけでいいから白髪を改善したいのであれば、白髪染めで染めることが良いでしょう。
白髪染めにはいろいろありますが、中でも頭皮や髪の健康状態を良くする「白髪染めトリートメント」がお勧めです。強い薬品を使っていない商品が多いため、アレルギーの心配が少ないのもお勧めできるポイントです。